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「萬翠荘」(ばんすいそう)です。
「萬翠荘」は松山城の城山南麓の中腹に建っているフランス・ルネッサンス風の洋館で、設計は後に愛媛県庁本館などを手がけた建築家の「木子七郎」です。建物を「萬翠荘」と命名したのは、「久松定謨」の子で次代当主となった「久松定武」です

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「萬翠荘」は松山で最も古い「鉄筋コンクリート造建築」です。正面車寄を入って中央が階段のある広間、東側は表がサロン(謁見の間)、裏手が食堂(晩餐の間)となり、西側には執事室、配膳室など内向きの部屋を配しています。2階は居間、寝室などの居住スペースです(現在は第1〜第7展示室)
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玄関の床は大理石で、玄関ホールの柱は岡山産の万成石(通称紅桜)です。各部屋には色の異なる大理石で造られたマントルピース(暖炉)や水晶のシャンデリアステンドグラスで飾られています。
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完成直後の1922年(大正11年)11月22日から24日まで、皇太子摂政宮(昭和天皇)が滞在しました。その後も皇族などの滞在場所として度々使用されています。また、当時は社交の場として各界の名士が集まったといわれています。
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太平洋戦争終結後は、米軍に接収されました。1947年(昭和22年)からは松山商工会議所として使用されました。1979年(昭和54年)に愛媛県立美術館分館と名称変更され、1985年(昭和60年)に愛媛県指定文化財に指定されました。2008年に改修工事が行われ、2011年11月29日に本館と管理人舎の2棟が国の重要文化財に指定されました。

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大正時代の建築当時の様子をそのまま残す貴重な建築物です。